くきはの余生

リタイアしてようやくのんびり暮らせるようになりました。目指すは心豊かな生活。還暦目前で患った病気のこと、日々の暮らしや趣味のことなどを綴っています。

詩を読む

詩を読んでイメージしたことや感じたことなどを書いています。
カクヨムへも転載しています▶詩を読む:カクヨム版

▶著作権と詩全文の掲載について

人を 殺さば・八木重吉:感情の直線的な表現

八木重吉の「人を 殺さば」を読みました。詩集『秋の瞳』に掲載されている一篇です。 青空文庫で読めます。→図書カード:秋の瞳 八木重吉(1898年~1827年)は、東京生まれの、日本の詩人。東京高等師範学校を卒業して英語の教師のかたわらで詩作をしました…

喪のある景色・山之口貘:地球の永遠の連鎖

山之口貘の「喪のある景色」を読みました。 山之口貘詩集(1958年原書房) 青空文庫で読めます→図書カード:山之口貘詩集 山之内貘(1903年~ 1963年)は、沖縄県出身の詩人。仕事を転々とし、ホームレスのような生活をしながら197編の詩を書き4冊の詩集を残…

秋の女・佐藤春夫:遠ざかって行く時雨の恋歌

佐藤春夫の「秋の女」を読みました。 『佐藤春夫詩集』(1926年・第一書房)に掲載の一篇です。 青空文庫で読めます。→図書カード:佐藤春夫詩集 佐藤春夫は、(1892年~1964年)日本の詩人、作家。明治末期から昭和にかけて活躍しました。 弟子が多いことで…

幸福が遅く来たなら・生田春月:皮肉か、あきらめか、それとも?

生田春月の「幸福が遅く来たなら」を読みました。 日本の詩歌 26 近代詩集(1970年中央公論社) 青空文庫で読めます。→図書カード:幸福が遅く来たなら 底本は、『霊魂の秋』(1917年新潮社) 生田 春月(1892~ 1930年)は、鳥取県生まれの日本の詩人。ハイネ…

きつね・蔵原伸二郎:記事が書けない詩

蔵原伸二郎の「きつね」を読みました。 青空文庫で読めます。→ 図書カード:狐 蔵原伸二郎は、明治32年(1899年)生まれ、熊本県出身の詩人です。慶応義塾大学文学部在学中に萩原朔太郎の『青猫』の影響を受けて詩作をはじめ、雑誌「三田文学」「コギト」など…

ぼくもいくさに征くのだけれど・竹内浩三:本当はそうじゃないんだ……

竹内浩三の『ぼくもいくさに征くのだけれど』を読みました。 青空文庫で読めます→図書カード:ぼくもいくさに征くのだけれど 底本は「竹内浩三全作品集 日本が見えない 全1巻」(2001年藤原書店 ) 竹内 浩三は、1921年(大正10年)~1945年(昭和20年)三重…

川・千家元麿:軽やかに生き生きと流れる

千家元麿の詩「川」を読みました。 詩集「天炎」収録の一篇です。 国立国会図書館ジタルコレクション収蔵の詩集で読みみました。→炎天 - 国立国会図書館デジタルコレクション 千家元麿、1888年(明治21年)~ 1948年(昭和23年)、日本の詩人。 詩は河井酔茗…

古い本を探すなら国会図書館デジタルコレクションが便利

千家元麿の「川」という詩を探していました。 著作権の切れた文章を扱う「青空文庫」にはまだ収録されていなくて、どこかで全文が見つからないかなと検索していたのですが。 夢二式美人「花火」出典:国立国会図書館NDLイメージバンク」 国会図書館のデジタ…

寒中の木の芽・内村鑑三:淡々と生きる

内村鑑三の詩「寒中の木の芽」 を読みました。 底本・内村鑑三全集31894-1896(岩波書店)/親本・「国民之友」284(明治29年) 青空文庫で読めます。→図書カード:寒中の木の芽 内村鑑三(1861-1930)は、キリスト教の思想家、文学者。日本独特の信仰の考え方…

孫娘とふたりで・蔵原伸二郎:過去と未来の長さの対比を感じる

蔵原伸二郎の「孫娘とふたりで」を読みました。「五月の雉」の中の一篇です。底本『近代浪漫派文庫 29 大木惇夫 蔵原伸二郎』(新学社)より。青空文庫で読めます→図書カード:五月の雉 蔵原伸二郎(1899~ 1965年は、熊本県出身の詩人で作家。評論家でもあ…

一つのメルヘン・中原中也:秋の詩を読む

今週のお題「秋の歌」 はてなの今週のお題が「秋の歌」ということなのですが、やはり私がブログ記事を書くなら「秋の詩(うた)」であろう、ということで。 中原中也の詩集『在りし日の歌』から「一つのメルヘン」を取り上げることにしました。青空文庫で読…

コレガ人間ナノデス ~詩集『原爆小景』より・原民喜:やるせない思い、静かな怒り

原民喜の詩集『原爆小景』より「コレガ人間ナノデス」を読みました。 青空文庫で読めます。→図書カード:原爆小景 原民喜は1905年広島生まれの小説家、詩人。 爆心地に近い実家で被爆。広島の被爆の状況を綴った「夏の花」を書き上げ、その後も被爆体験をも…

めぐりあひ・ 佐藤惣之助:世界が変わって見えるほどの喜び

佐藤惣之助の「めぐりあひ」を読みました。詩集『季節の馬車』の中の一篇です。 青空文庫で読めます→図書カード:季節の馬車 佐藤惣之助は、1890年神奈川県生まれの詩人、作詞家です。 処女詩集『正義の兜』(1916年)をはじめ、『狂へる歌』『満月の川』な…

「月月に・・・」の歌・読み人知らず:中秋の名月か仲秋の名月か?

今年、2020年の十五夜、旧暦の8月15日は、10月1日だそうです。 秋のお月見にちなんで、「月月に・・・」の歌を取り上げてみます。 作者は不明で、出典は『一挙博覧』という書物という説がありますが、はっきりとはわかっていないようです。

仮繃帯所にて『原爆詩集』より・峠三吉 :変わらぬ日常が切断される残酷

峠三吉の『原爆詩集』より「仮繃帯所にて」を読みました。底本『新編原爆詩集』(青木書店)青空文庫で読めます。→図書カード:原爆詩集 『原爆詩集』は最初、大手出版社から出版される予定でしたが、朝鮮戦争や進駐軍との関係などによって発行できなくなり…

あめふり・北原白秋:子供の格差悲喜こもごも

北原白秋作詞、中山晋平作曲『アメフリ』。あめあめ ふれふれ かあさんが~の、誰でも知ってるあの歌です。 先日、最近の梅雨の雨は昔とちがって、シトシトではなく、ザアザア、ビュウビュウだな、なんて思いながら、庭を眺めながら口ずさんでいて、そう言え…

籠もよみ籠持ち・万葉集 巻頭歌

万葉集 の巻頭歌、第21代、雄略天皇の歌です。 雄略天皇は日本の第21代の天皇。5世紀後半頃の日本は、地方の権力者がそれぞれに治めていましたが、 雄略天皇が力で制圧してまとめ、大和の国の権力を高めたと言われています。

歓喜に寄せて・シラー:第9は聴くより歌った方が楽しい

シラーの「歓喜に寄せて」です。wikipedia↛歓喜の歌 - Wikipedia で読んだため、訳者名はわかりませんでした。 ベートーベンの交響曲第9番「合唱つき」の第4楽章の歌詞となった詩です。 ヨーハン・クリストフ・フリードリヒ・フォン・シラー(1759年~1805…

死・峠三吉『原爆詩集より』:忘れてはいけない記憶

峠三吉の『原爆詩集』より「死」を読みました。底本『新編原爆詩集』(青木書店)青空文庫で読めます↛図書カード:原爆詩集 峠三吉は、1917年大阪で生まれ、広島で育たました。戦前は詩や俳句、短歌に親しみ、新聞や雑誌に投稿。 1945年28歳の時に爆心地より…

雨・八木重吉:死は自然である

八木重吉の「雨」です。この詩は現在、青空文庫には掲載されていません。 ↛作家別作品リスト:八木 重吉 私が所持している『定本八木重吉詩集』(弥生書房)にも入っていません。私自身は確認していませんが、ぽるぶ出版『日本の詩八木重吉』には掲載されてい…

いろは歌・ことばを駆使してあそぶ

いろは歌、全部言えますか? おそらく義務教育では習うことがないと思うので知らない人も多いのかもしれません。 私はいつ覚えたのか記憶にないのですが、一応唱えることができます。 文献に残っている限りでは 平安時代頃に作られたのではないかとと言われ…

令和の由来・梅花の歌三十二首序:万葉集巻第五

令和元年の五月朔日に新天皇即位され元号改むる。時に初夏の瑞月にして、気爽けく風涼し……なんちゃって古文、お粗末さまです。 冗談はともかく、昨日4月30日に天皇陛下が退位され、今日から令和がはじまりました。 令和のはじめの日に、出典となった、万葉…

やけた鍵・大手拓次:なんとなく、わかったような、わからないような、でも好き

大手拓次の「やけた鍵」を読みました。詩集『藍色の蟇』の一篇です。 青空文庫で読めます。→図書カード:藍色の蟇 底本は『世界の詩28大手拓次詩集』(1965年弥生書房・刊) 大手拓次は1912年(明治45年)群馬県生まれの詩人です。早稲田大学に在学中から詩作…

書 斎・与謝野晶子:知識を栄養に育つ力強い花

与謝野晶子の詩「書斎」を読みました。『与謝野晶子詩篇集』(実業之日本社1929年刊) より。青空文庫で読めます。→ 図書カード:晶子詩篇全集 与謝野晶子は878年(明治11年)大阪生まれの歌人、作家。20歳頃から雑誌に短歌を投稿しはじめ、歌会で与謝野鉄幹…

十五夜お月さん・野口雨情:満月に母の面影を追う

今年は今日、9月24日が旧暦8月15日、十五夜です。お月様の詩を探していて、行き当たったのが、この詩でした。 青空文庫で読めます →図書カード:十五夜お月さん 野口雨情は明治15年(1882年)生まれの詩人、童謡作詞家です。東京専門学校(現。早稲田大学)に…

大阿蘇・三好達治:日常の一瞬を切り取った静寂

三好達治の「大阿蘇」を読みました。『霾(ばい)/作品三巻壱号』(1932年)に掲載の一篇です。青空文庫で読めます →図書カード:霾 底本は『三好達治全集第一巻』(1964年) 三好達治は1900年(明治33)年生まれの詩人、翻訳家、文芸評論家です。1922年に現在…

夜通し風がふいていた・竹内浩三:若者が戦争へ行ったということ

竹内浩三の詩「夜通し風がふいていた」を読みました。青空文庫で読めます →図書カード:夜通し風がふいていた 底本 『竹内浩三全作品集 日本がみえない』(藤原書店・2001年) 竹内浩三は1921年(大正10年)三重県生まれの詩人です。1940年に日本大学専門部映画…

私の果樹園・三木清:聖なる果実を学び育てそして収穫する

三木清の「私の果樹園」を読みました。底本は『現代思想体系33』(筑摩書院・刊1966年)青空文庫で読めます →図書カード:私の果樹園 三木清は1897年兵庫県生まれの哲学者。京都帝国大学で哲学者の西田幾太郎に師事しました。大学在学中には友人達の影響で和…

独楽・高祖保:廻り澄み高みへ昇って行くイメージ

高祖保の「独楽」を読みました。1947年没後に刊行された『高祖保詩集』に収録された未完詩集『独楽』の中の一篇です。 底本は『高祖保詩集』現代詩文庫、思潮社・刊(1988年)。青空文庫で読めます → 図書カード:独楽 高祖保は1910年岡山県生まれの詩人、歌人…

ぼろぼろな駝鳥・高村光太郎:どうにもできない怒りと悲しみ

高村光太郎の「ぼろぼろな駝鳥」を読みました。青空文庫で読めます →図書カード:ぼろぼろな駝鳥 底本は『近代詩の鑑賞』 さえら書房(1958年)です。 高村光太郎は日本の詩人、歌人であり、彫刻家、画家でもあります。1883年(明治16年)、彫刻家高村光雲の長…