くきはの余生

リタイアしてようやくのんびり暮らせるようになりました。目指すは心豊かな生活。還暦目前で患った病気のこと、日々の暮らしや趣味のことなどを綴っています。

きつね・蔵原伸二郎:記事が書けない詩

蔵原伸二郎の「きつね」を読みました。

青空文庫で読めます。→ 図書カード:狐

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 蔵原伸二郎は、明治32年(1899年)生まれ、熊本県出身の詩人です。慶応義塾大学文学部在学中に萩原朔太郎の『青猫』の影響を受けて詩作をはじめ、雑誌「三田文学」「コギト」などに作品を発表しました。

 

 

きつね

 

     蔵原伸二郎

 

狐は知っている 

この日当たりのいい枯野に
自分が一人しかいないのを
それ故に自分が野原の一部分であり
全体であるのを
風になることも枯草になることも
そうしてひとすじの光にさえなることも
狐いろした枯野の中で
まるで あるかないかの
影のような存在であることも知つている
まるで風のように走ることも 光よりも早く
 走ることもしつている
それ故に じぶんの姿は誰れにも見えない
 のだと思つている
見えないものが 考えながら走つている
考えだけが走つている
いつのまにか枯野に昼の月が出ていた

 

この詩が気になって、記事を書こうと準備して、下書き保存してから1年以上。時々詩を読み返していたのですが、何故か、文章が書けませんでした。

こんな詩もあるんですね。

わからなくても、何故か好きな詩なんです。

きつねのいる状況は、たぶん理解できていると思います。詩人が何かを伝えてくれていることもわかります。

それなのに、それが何か、私には読み取れなくて、鑑賞の文が書けませんでした。

もしかすると、学者さんや研究者さんが書いた本でも読めば、答えが書いてあるのかもしれません。でも、あえて調べることをせず、わからないままにしておくことにしました。

www.ebaragioba.info

何度も読んでいれば、いつか私だけのイメージは浮かんでくるかもしれません。

それまでは、わからないままにしておこうと思います。