千家元麿の詩「川」を読みました。
詩集「天炎」収録の一篇です。
国立国会図書館ジタルコレクション収蔵の詩集で読みみました。→炎天 - 国立国会図書館デジタルコレクション
千家元麿、1888年(明治21年)~ 1948年(昭和23年)、日本の詩人。
詩は河井酔茗に師事。19322年に室生犀星、佐藤惣之助らと詩誌『嵐』を創刊しています。詩集は『 自分は見た』『 野天の光』『 新生の悦び』『炎天』他
川
千家元麿
川、川
清い川
おまえは波立ち
楽しげに走ってゆく
笛のやうに歌い乍ら
曲がったり、真っ直ぐになつたり
少しも休まず
流れていく清い水よ
おゝ楽しげに軽らかに
みんなで躍り上がって障害物を越えたり
輪を巻いて踊ったり
狂うように激しく興奮して
先へ先へと笛を吹いて走って行く
美しい水の精よ
純潔に平静に
軽らかに屈託無く
楽しい旅をしてゆく川よ
走れ、走れ
足並み揃へて
この詩は、千家作詞、橋本國彦作曲で合唱曲になっていて、1931年に東京音楽学校編纂『新歌曲 第一輯』に掲載されました。
私が中学生の頃、ですからもう何十年も前の話になりますけれど、合唱コンクールのために練習した曲で、印象的な歌でした。
先日、ふと、この歌詞の一部を思い出したのですが、後半の部分がどんなだったか思い出せなくて、ネットで探していました。
その時、国立国会図書館デジタルコレクション で見つけて、歌詞の全部を思い出せたという経緯がありました。
改めて、川という詩を読んでみると、なんだかとても、中学生が歌うのに相応しい、素直な詩だなという感じがしました。
悪気がないと言うのでしょうか。善良な、というのでしょうか。軽やかに生き生きと、楽しく走っている川の流れが、描写されているように思います。
この川は、ゆったり流れる大河ではなくて、キラキラ輝く水しぶきを上げて、山の傾斜を流れているような、そんな印象を持ちました。