原民喜の詩集『原爆小景』より「コレガ人間ナノデス」を読みました。
青空文庫で読めます。→図書カード:原爆小景
原民喜は1905年広島生まれの小説家、詩人。
爆心地に近い実家で被爆。広島の被爆の状況を綴った「夏の花」を書き上げ、その後も被爆体験をもとにした作品を書き続けました。
1951年に東京西荻窪駅で自殺して亡くなりました。
コレガ人間ナノデス
原民喜
コレガ人間ナノデス
原子爆弾ニ依ル変化ヲゴラン下サイ
肉体ガ恐ロシク膨脹シ
男モ女モスベテ一ツノ型ニカヘル
オオ ソノ真黒焦ゲノ滅茶苦茶ノ
爛レタ顔ノムクンダ唇カラ洩レテ来ル声ハ
「助ケテ下サイ」
ト カ細イ 静カナ言葉
コレガ コレガ人間ナノデス
人間ノ顔ナノデス
原爆投下直後の 人間の姿。
激しい怒りでもなく、悲しみでもなく、感情が途絶えてしまったように、その姿を直視している詩人が想像できました。
「コレガ人間ナノデス」カタカナで書かれている言葉は、ひらがなで書くよりも、詩人の心の奥底にある、やるせない思いや、静かな怒りをを強調するようだと感じます。
詩の内容については、説明は必要ないでしょう。
読むたびに、心が重たくなってしまうのですが、目をそらすべきではないのですね。
夢物語ではなく、現実に起こった事なのですから、キツくてもしっかり受け止めるべきなのだと思います。