昨年末の話になりますが、郵便局から母あてにお知らせが届きました。郵便貯金の取引きを10年以上していないので使ってくださいというもの。
今は民営化したので変わったかもしれませんが、以前なら10年以上放置すると国庫に入ってしまうということだったように記憶しています。
あわてて、母の部屋や納戸など家中、通帳を探したのですが、どこにも見当たりませんでした。
大事なものは、なくしたり盗られたりしてはいけないからと、しまい込んで、どこに置いたかわからなくなってしまうのが認知症なのです。家中探しまわった末に「なぜ、こんなところに!」と、驚くような場所に入っていたりします。
寝室や納戸など、母の生活圏は断捨離を終えていて、今はほとんどモノがない状態です。印鑑や銀行の預金通帳は出てきたので、私が預かっているのですが、その時、郵便貯金の通帳は出て来ませんでした。
もう数年前になるでしょうか、母が銀行の通帳を紛失してしまって、母を連れて再発行に行ったことがあります。
当時はまだ自宅にいましたし、認知症の初期段階だったので、自筆で申請書類などを書くことができたのですが、今回は困りました。
現在の母は老健施設に入所中で、郵便局へ出向くことができません。それに、自筆で書類が書けるかどうか怪しい状況です。
本人不在で通帳の再発行ができるのか、無理かなと思いながらも、とりあえず夫と一緒に郵便局の窓口へ行ってみました。
郵便貯金通帳再発行委任状
同じような問い合わせはよくあることのようで、窓口の職員さんは、馴れたようすで説明してくれました。
やはり、本人が来て自筆で書かないとと再発行できないということ。まあ、当然ですよね、誰でも簡単に手続きできてしまったら、通帳乗っ取りも簡単にできてしまいますから。
ただし、本人が自筆で書くことができて、登録印鑑がわかっていれば、「委任状」を出すことで手続きができるとのことでした。
登録印鑑。わからないのですが、銀行で使っている印鑑はわかっていたので、とりあえず、それを使ってみることにして、母が文字を書けるかどうか試してみることにしました。
1回目委任状提出
母のところへ洗濯物の交換に行ったついでに、母に委任状を書いてもらうことにして、夫が行ってくれました。
認知症というのは、最近のことは覚えていられないのですが、昔のことは良くおぼえているものです。昔から身についている文字を書くという行為は覚えていてくれたみたいでした。
ただ、夫が見本を書いて、それをマネするという形で。時間をかけて記入して行ったようです。
そして翌日、母の身分証明書と、委任者である私の身分証明書を添えて、郵便局の窓口へ。局員さんの指示に従って再発行申請の書類を書いて、印鑑を押して提出。
これで、印鑑が合っていれば、再発行された通帳が郵便で届くということでした。
しかし……
印鑑証明と委任状の再提出
委任状を提出してから10日くらい経った頃、登録印鑑が違っているとのことで、郵便局から電話が来ました。
母の印鑑は断捨離の時に数本みつけて預かっているのですが、どれが登録印かはわかりません。
困っていると、電話口の局員さんが、印鑑証明書があれば、登録印鑑の変更ができると教えてくださいました。
そこで、委任状を郵送してもらい、もう一度母に書いてもらい、市役所で母の印鑑証明書をとって、実印がどれかを確認。再度窓口へ行きました。
何回も行くので、お馴染みさんになってしまったようで、窓口へ行ったら「ああ」とすぐにわかってくれました(笑)
今回は、登録印の変更をしてもらい、その上で、もう一度再発行申込書に記入し再提出。
今度こそ……
ようやく貯金通帳が届きました
そして、待つこと約2週間。ようやく郵送で郵便貯金通帳が届きました。再発行完了です、やれやれ(笑)
郵便貯金の引き出しは50万円以下
老健施設に入所するにしても、介護サービスを利用するにしても、お金がかかります。本人の年金を使って支払えるのがベストなのですが、肉親と言えども本人以外が勝手に貯金を動かすことができないのが困るのです。
郵便貯金通帳が再発行できて、貯金額を確認しましたら、それほど多くの額ではありませんでしたけれど、老健施設に支払う3ヶ月分程度の額がありましたので、全額引き出して支払いに充てようと考えました。
そこで、郵便局でおろそうとしたら、本人以外が代理で引き出すには、50万円以下までという決まりがあるのだそうです。そのため、一応2ヶ月分の金額を引き出しました。
自由に他人が引き出せたら、それこそ困りますので仕方がありません。銀行では本人以外の引き出しができませんから、郵便貯金は少しは融通がきくのかもしれませんね。
親子と言えどもデリケートな問題
特に認知症初期には、お金に関して敏感になることが多くて、おサイフが見つからないと、私が盗ったのではないかというような疑いを持った時期もあったりして、実親ながら悲しい気分になったこともあります。
それは、病院へ行ってお薬を飲むようになってからは。穏やかになって無くなりましたけれど、一時は人柄が変わってしまったような時期もありました。
まあ、そういう病気なのだから、それなりに対応して行くほかはないのですけれど、本人にとっても家族にとっても過酷な病気だなと思います。
お金や大事な書類は本人の記憶が確かなうちに代理手続きなどができたらいいのですが、成人後見人制度とか、信託とか、素人には難しい手続きみたいですから、困ったものです。