断捨離はまず、不要なもの、使わないものを「捨てる」ことからスタートしますが、その「捨てる」という行為がかなり難しいのです。
人間は生き残るために、ため込む本能があるのではないかと思うのです。
これは、学術的な裏付けはまったくない、私の勝手な空想なのですが……
原始の時代、人間がまだ大自然の中で無力だった頃、食べ物を得ることは命を賭けるほどの大変な作業でした。
食べ物がなければ、命を繋ぐことはできないのに、風や雨、嵐、雷、寒さや暑さなど、自然は容赦なく人間の生活を翻弄します。
そのため草木が育ち、生き物がたくさん活動している時期に食べ物を得て、それを厳しい冬に備えて蓄えることは重要なことだったはずです。
食べるだけではなく、骨の一欠片、植物の根っこまで大切に保存して残さずに使ったはずです。
そんな環境で「モノを捨てる」なんて感覚が育つはずはありません。人間は命を繋ぐために本能的にモノを蓄える性質があるのではないかと思うのです。
捨てる時には実際に脳が痛むらしい
その本能のせいかどうかはわかりませんが、モノを捨てる時には、実際に、脳の痛みを感じる部分、前帯状皮質と島皮質という部分が反応するのだそうです。
痛みの強さとしては、紙で手を切った時程度の痛みだそうですけれど、紙でサッと手を切ったらかなり痛いですよね。参考はこちら→なぜ僕らはムダなものを買ってしまうのか | ライフハッカー[日本版]
そのため、ものを「捨てる」時には、体の痛みとしては感じないかもしれないけれど、脳は痛いと悲鳴を上げているのかもしれません。
捨てられないのは執着が強すぎるばかりではない
捨てる時の心の痛みを考えるならば、断捨離で捨てられないのは、あながち執着心が強いことや、だらしないからばかりではなく、人間が本来もっている反応なのだと考えることができるでしょう。
捨てられない自分をふがいないと責めることは間違っているようです。ちょっと気が軽くなりました。
それでも捨てるためにどうすればいいのか
でも、それでも、断捨離をしてお部屋をスッキリさせるためには、その心の痛みに向き合って、痛みを乗り越える必要があります。
捨てる理由を自分に納得させる
捨てるべきだと思っているのに躊躇してしまう場合は、なぜこれを捨てるべきなのか、捨てなくてはならないのかを考えてみます。
「1年以上使っていないから」「形が古くなったから」「新しいのを買ったから」等々、捨てる理由を自分自身に説明してみます。
捨てた後の状態を予想してみる
これを捨てることで、自分にどんな良いことが起こるのか、どんな変化がもたらされるのか空想してみます。
「収納場所が空く」「お掃除が楽になる」「新型のものに買い換えられる」など、捨てることで得られる利益を考えてみます。
捨てるものに感謝する
私達はモノに意志を感じたり、擬人化して考えることができる想像力を持っています。このまま捨ててしまうのは可哀想、まだ使えるのにもったいないと感じることも多くありますね。
そんな時は、心の中ででもいいですし、実際に声に出してもいいですけれど「ありがとうございました」「お世話になりました」と感謝の気持ちを表してみます。手を合わせるのも良いと思います。
そうすることで、自分の気持ちの整理がつくようになると思います。
痛みを感じる前にどんどん捨ててしまう
これは荒技です。じっくりモノと向き合って考えていると、なかなか捨てられなくなってしまう時には、考えずに瞬間的に決断してゴミ袋に放り込んでしまいます。
これは、汚部屋を断捨離するために私がやっている方法。見渡す限りほとんど捨てるべきものばかりの物置などは、あれこれ考えていると時間ばかりかかって進みません。
そのため、感情を殺して、痛みも無視して、とにかく捨てます。
ただ、この方法だと、大切なものを捨ててしまい後で後悔することになる可能性もありますので、ご自分の部屋など、こだわりのものがたくさんある部屋の断捨離にはオススメしません。
それでも捨てられないものは残して置く
色々考えたり、迷ったりしてみても、それでも捨てたくないものは、無理して捨てる必要はありません。または、いったん残しておいてから、しばらくしてもう一度考えてみても構わないのです。
何もかも捨てることが断捨離ではなくて、必要な物、自分が大切だと思うものは残しておいていいのです。むしろ、残しておく物を選び出す作業が断捨離ではないかと思います。
考える前に行動、考えながら行動
「捨てなくちゃ」と、あまりに強く考えすぎてしまうと、考えるだけで終わってしまい、断捨離がはじめられないことにもなりかねません。
まずは行動してみることが大切ですね。気負い過ぎずに、ゆるく考えて行けばいいのです。
実際にモノを捨ててみて、どう感じるのか経験してみることで、捨てることに馴れて行くように思います。