amazonプライムビデオで、古い映画『赤い風車』を観ました。
1953年、 ジョン・ヒューストン監督作品。19世紀末の画家、アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックの人生を描いた伝記映画です。
主は、、ホセ・ファーラー、マリー役、コレット・マルシャン、ミリアム役シュザンヌ・フロン他。
赤い風車とは、フランス・モンマルトルの「ムーラン・ルージュ」のこと。公式サイトはこちら→ムーラン・ルージュ公式日本語サイト
フレンチ・カンカンの踊りで有名なキャバレーで、ロートレック は頻繁に出入りして、踊り子や娼婦たちの姿を描きました。
映画の冒頭、熱気あふれるカンカン踊りからはじまり、ライバルらしい二人の踊り子の激しい喧嘩に圧倒されます。
キャバレーって、どんなところか良く知りませんでしたけれど、社交場のようなものみたいです。
お客は男性だけではなくて、男女ペアでの来店も普通で、歌や踊りショーを見ながら、お酒をのみ、会話を楽しむといった店のようです。
店の喧噪のなかで、お酒を飲みながら、ひたすら踊り子をスケッチするロートレック。
彼は、伯爵家の子息でしたが、子供の頃の事故などで足が悪く、足の骨が成長できなかったため、人よりも背が低く、そのことにコンプレックスを抱いています。
人と違っていることは、現代でも悩みが多いかもしれませんが、19世紀の当時は今以上に生きにくかったでしょう。
あえて言われなくても、ロートレック自身が良くかっているのに、わざわざ 外見をからかう輩がいて、そのたびに彼は怒り、持っている杖を振り上げるのです。
でも、ロートレックがひたすら絵を描き続けたのは、コンプレックスを抱き、それを昇華しようと模索していたからかもしれないと感じました。
それに、パリの雑多で自由な雰囲気が、複雑な心境をもつロートレックを受け入れていたからかもしれません。
彼は恋多き男だったとも伝わっています。
映画でも、マリーという娼婦に出会い魅かれますし、後にはミリアムという女実業家(?)と親しくなりますが、いずれも幸せな結果にはなりませんでいた。
素直じゃないんです、ロートレックさん。
プライドやコンプレックス、内向的な性格、色々な感情が入り乱れて、イザという時、拒否してしまうというか、今一歩踏み出せないというか、不器用な人だなと思います。
36歳の若さで亡くなるのですが、晩年はアルコール依存症ににおちいり、衰弱して亡くなったということです。
芸術家というのは、なかなか平穏な環境では生きられないものなのでしょうか。
複雑な心の動きを糧にして、作品を生み出していくのかもしれません。