映画『チャーリング・クロス街84番地』をオンデマンドで観ました。
1986年アメリカ映画です。
ヘレン・ハンフの原作は昔、本好きの友人から紹介されて読んで、感動したことがありました。
今では細かい内容までは記憶が薄れてしまっているのですが、映画になっていると知って、あの物語をどう映像にするのだろうと興味をもっていました。
お話は、アメリカの脚本家ヘレンと、イギリスの古本屋の店主と交わした往復書簡で、実話をもとにしているそうです。
脚本家役がアン・バンクロフト、古本屋の店主がアンソニー・ホプキンス。
派手な演出もなく、ドラマチックな展開もない。往復書簡の文章とともに、ニューヨーク(?)とロンドンのそれぞれの一場面が、交互に淡々と映し出されます。
当時、第二次世界大戦直後、アメリカは好景気で豊かだったようですが、イギリスは疲弊して、食料品などは配給制だったようです。
そんなお国事情も、当時の街の雰囲気なども垣間見えて、興味深く観ました。
当時の古本の流通はどうだったか、垣間見えるシーンもありました。
古本屋の主人が、直接、お屋敷を巡って、自分の足で本を見つけに行っているというところ。
イギリスには、おそらく貴族などの、古くから続いているお屋敷などもあるでしょうから、掘り出し物も眠っているに違いありません。ちょっとロマンを感じました。
ネットでチラッと読んだ鑑賞文には、ふたりの交流が「プラトニックラブ」と書いてあるところもありましたが。私は鈍感なせいか、そういう感じは受けなかったのですけれど。本への愛情、相手への深い親愛の情は感じました。
でも、もしかしたら、最後に(映画では冒頭)ヘレナさんがロンドンの店に足を運んだ時の気持ちは、ラブだったのかもしれないと思います。
観てすごく面白いという映画ではありませんでしたけれど、愛書家にとっては共感する部分も多く、少し切なくて、でも、心があたたかくなるようなお話です。