リオオリンピックも終盤ですね。日本人のメダルラッシュに感動しながらテレビを見てます。
「オリンピックは参加することに意義がある」とは近代オリンピックの始祖、クーベルタン男爵の言葉ですが、いつの頃かメダルを獲得することばかりに目が向いているようで、今回は国ぐるみのドーピング違反の問題も浮き上がってきました。
クーベルタンは「美しく負けるのも大切だ」とも言っているそうです。
ピンダロスの「オュンピア祝勝歌第8歌」を読みました。
西洋古典叢書『祝勝歌集/断片集』ピンダロス・作、内田次信・訳(京都大学出版会)に掲載されている一篇です。
ピンダロスは紀元前の古代ギリシアの詩人です。オリンピックの起源になった、オリンビュア競技の祝勝歌を多数書いていることで有名です。
2004年のアテネオリンピック のメダルには、ピンダロスの詩の冒頭一節が彫られていたそうです。
優勝者のドーピング違反で後に繰り上げ金メダルを受賞したハンマー投げ室伏広治選手が、記者会見で日本語訳を紹介して知られました。
「黄金の冠を戴く競技の母オリュンビアよ 真実の女王よ!」ではじまる詩は、オリュンビア祝勝歌の第8歌だと言われているのですが、室伏選手が紹介した一節と、今回読んだ内田次信氏の訳とは少し違っていました。
原本はギリシャのドリス方言で書かれていて、それを日本語訳で読むのですから、訳者によって文言が違うこともあるのでしょう。
9連からなる長い詩で、古代ギリシャの知識を何も知らない私には、内容が上滑りしてしまって、分かるようなわからないような状態でした。
でも、賛歌なので心地よい言葉、勇ましい言葉が並び、心躍るような感じです。
第8歌は、アイギナのアルキメドンのためにという副題がついていて、少年レスリングの優勝者に捧げられた詩です。
古代オリンピックも優勝者の名誉は大きなものだったのでしょうね。詩は優勝者をたたえるだけでなく、祖国やトレーナーや家族への賛辞にまで及んでいます。
当時の詩は、文章だけではなく、詩と音楽と舞踊がセットになっていたそうですので、華やかに盛大に優勝セレモニーが行われたのだろうと想像しました。