ウィリアム・ブレイクの「笑いの歌」(吉田甲子太郎・訳)を読みました。
青空文庫 海外文学に公開されている一篇。 →青空文庫 図書カードNo46818
1789年に発表された詩集『無垢の詩』に収録されている作品です。
ウィリアム・プレイク(1757-1827)はイギリスの詩人、銅版画家です。
笑いの歌
ウィリアム・ブレイク 吉田甲子太郎・訳
緑の森がよろこびの声で笑い
波だつ小川が笑いながら走ってゆく、
空気までが私達の愉快な常談(じょうだん)で笑い
緑の丘がその声で笑い出す。
牧場(まきば)がいきいきした緑で笑い
きりぎりすが楽しい景色の中で笑う、
メアリとスーザンとエミリとが
可愛い口をまるくしてハ・ハ・ヒと笑う。
私たちが桜らんぼとくるみのご馳走をならべると
その樹の陰できれいな鳥が笑っている、
さぁ元気で愉快に手をつなぎましょう
うれしいハ・ハ・ヒを合唱しましょう。
なんとも楽しい詩です。読んだまま、そのままを楽しめば良いのでしょう。
おそらく「箸がころげても可笑しい」年頃の娘たち、メアリとスーザンとエミリだけが笑っているのではなくて、まわりの自然や生き物も、みんなに笑いの連鎖が起こっています。
自然豊かな緑の森、キラキラ光る小川、小さな虫や可愛らしい小鳥たち、空からはお日様の光が降りそそいで、なんと穏やかで美しい風景。
詩集『無垢の歌』は、新しいわらべ歌を表現しようとしたそうなので、この詩にも純粋無垢な子供のような心が表現されているのですね。