くきはの余生

60歳目前に患った卵巣がんと糖尿病についての覚え書き。これからの人生を心豊かに暮らすための活動記録

さきの世にも御ちぎりや深かりけむ・桐壺3:源氏物語4

 桐壺の3回目。今回は光源氏の誕生の場面です。いよいよ主役登場です。

光君は、赤子の頃から美しく、成長してからも教養高く優雅で、誰もが見惚れてしまうような人物として描かれてはいるのですが、なんとなく、印象が弱い気がします。

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普通、物語を読むときには、主人公に共感しながら読むことが多いのですが、描かれている女性たちの方が印象が強いです。

本当の主役は光源氏ではなく、彼をとりまく周りの人達なのではないかと思います。 

 

さきの世にも御ちぎりや深かりけむ。世に清らなる玉のをのこ御子さ生まれ給ひぬ。いつしかと心もとながらせ給ひて、急ぎ参らせて御覧ずるに、めづらかなるちごの御かたちなり。一のみこは右大臣の女御の御はらにて、寄せ重く、疑ひなき儲けの君と、世にもてかしづき聞こゆれど、この御にほひには並び給ふべくもあらざりければ、おほかたのやむごとなき御思ひにて、この君をば、わたくしものにおもほしかしづき給ふ事かぎりなし。

 桐壺の更衣は周囲から意地悪をされて苦しみながらも、御子を身ごもり出産します。

妊娠中のことについては描かれてはいませんが、ずっと嫌な思いをし続けていたのかもしれません。

前世でも(帝と更衣とは)ご縁が深かったのでしょう。世にも清らかな玉のような御子がお生まれになりました。(帝は)早く御子に会いたいと、急いで(御子を)参内させてご覧になりますと、たぐいまれなる御子のお姿でした。第一の皇子は、右大臣の女御(弘徽殿の女御)からお生まれになっており、勢力が強く、疑いなく次代の帝になる方だと、世にも大切にされていると聞こえていますけれど、この御子の美しさには並ぶこともできなかったので、(帝は)特別に貴いことに思われて、私的に大切なものとして限りなく大事にされていらっしゃいます。

 帝にしてみれば、身分の高い女御を差し置いて寵愛している桐壺の更衣が産んだ御子ですから、特別な思いがあるのは当然なのでしょう。

でも、そうなると、おもしろくないのは、第一皇子を膿んだ左大臣の女御でしょうね。

平安時代の出産

医学が発達していなくて、衛生状態も悪かった平安時代の出産は、女性にとって命がけのことでした。

出産は「穢れ」とされたため、宮廷内での出産は忌まれ、妊娠3~5ヶ月頃になると里下がりしました。

実家に戻った後で、妊娠のしるしとして帯を巻く儀式「着帯の義」をします。

皇后や中宮など身分の高い女人の場合は、同時に「変成男子の法」が行われることもありました。

これは、お腹の中の赤子を男子に変えるという修法です。妊娠初期の子なら女子を男子に変えることができると信じられていたようです。

実家では、室内を白い調度品で整えた産室が作られ、出産時には、白装束を着た女房達が控えて出産を手伝います。こちらのブログに出産の様子を人形で解説した写真があります→【京都・風俗博物館 出張展示】 2006年4月撮影 女三の宮の出産 - 晴れのち平安

また、僧侶たちが産室の外に控えて、安産ための加持祈祷を行いました。人の身体や精神が弱っていると物の怪が乗り移って苦しめるとされていたため、悪霊を「寄りまし」に移して祈祷したり、陰陽師が悪霊払いをすることもありました。

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