新美南吉の「明日」を読みました。
初出は雑誌「赤い鳥」 (1932年)。青空文庫で読みました、→図書カード:明日
底本は『日本児童文学大系第二十八巻』(1978年ぽるぶ出版)
新美南吉(にいみなんきち)(1913-1943)は、 児童文学作家。北原白秋の童謡雑誌「チチノキ」参加、その後き鈴木三重吉主宰の雑誌「赤い鳥」に作品を発表しました。良く知られている童話「ごんぎつね」の作者です。結核のため29歳で早世しています。
明日
新美南吉
花園みたいにまつてゐる。
祭りみたいにまつてゐ る。
明日がみんなをまつてゐる。
草の芽
あめ牛、てんと虫
明日はみんなをまつてゐる。
明日はさなぎが蝶になる。
明日はつぼみが花になる。
明日は卵がひなになる。
明日はみんなをまつてゐる。
泉のやうにわいている。
らんぷのように点(とも)つてる。
子どものための詩ですけれど、大人が読んでもワクワクします。
「明日が、みんなを待っている」ので、明日という未来が、子供たちをまっているんだよ、というメッセージなのだろうと思いました。お外の草の芽やあめ牛やてんとう虫だって、明日も遊ぼうと待っているようです。
誰かに待たれている、期待されていることは嬉しいことで、頑張ろうという気になります。子どもはそれに気づかないかもしれませんが、見守られている、愛情を注がれているということは感じているはず。
そしてみんな少しずつ成長して、明日には、さなぎが蝶になり、つぼみは花に、卵はひなに、みんな成長して行くのです。子供たちも楽しく過ごしているうちいつのまにか大人に。
現在の大人は、明日の子供の姿でもあります。明日は、いつか大人になる子供たちの成長を見守り、期待をしているのでしょう。