くきはの余生

リタイアしてようやくのんびり暮らせるようになりました。目指すは心豊かな生活。還暦目前で患った病気のこと、日々の暮らしや趣味のことなどを綴っています。

ジーン アウル作『ケープベアの一族(上)エイラ地上の旅人1』を読んだ感想

ジーン・アウルの『ケープ・ベアの一族(上)』久保寛・訳( 集英社刊)を読んでいます。「エイラ 地上の旅人」シリーズの第1巻目です。

まだ360ページのうち半分くらいなのですが、思っていた通りに面白いです。

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文字が小さめなので、老眼の私に読めるか心配していたのですが、内容が面白いのであまり違和感なく読めてしまいました。面白い小説は文字が小さくても大丈夫です。

 シリーズ1巻目ということで、クロマニョン人の少女エイラが、なぜ母親からも、一族からも離れて、厳しい大地をさまようことになったのかという発端から、ネアンデルタール人の一族に拾われて、醜い異端児として生きて行く姿が描かれています。

 この時点ではまだエイラは5歳くらいのの子供で、瀕死の彼女を拾って家族として迎入れてくれた薬師のイーザと、その兄でまじない師のクレブの庇護の元で生活します。

 序盤はエイラのことよりも、ネアンデルタール人のケイプペア一族の生活や儀式、狩りのようすなどが中心に描かれていて、旧人類の生活が目の前で繰り広げられているような臨場感がありました。

特に、放浪の末に定着できるほら穴を発見した時の一族の喜びや一連の儀式が印象的でした。ほら穴周辺の広大な自然の描写、生息する動植物の名前が次々に紹介されて、過酷ではあるけれど豊かな生活や文化があったことが感じられます。

  昔読んだ『大地の子エイラ』とは翻訳が違っているせいなのか、読んでいても再読しているという感じではなくて、はじめて読んだ本のように新鮮な気持ちでした。

www.ebaragioba.info

『大地の子エイラ』は児童書のジャンルで、長いお話でしたが「抄訳」だったらしいのです。

今回の『エイラ 地上の旅人』シリーズは一般書で「完訳」だというのも印象の違いなのかもしれません。

 最初読み始めた時は、淡々とした文章がよそよそしい感じで、すぐに物語の中に没頭することはできませんでした。でも、100ページ、200ページと読み進んでいくうちに文章に馴れて来て、いつの間にか物語の世界の中に入っていました。

私の読書時間は、最近は就寝前の10~30分くらいなので、読み切るまでには少し時間がかかりそうですが、下巻も読み終わったらまた続きを買おうと心にきめました。

しばらく楽しめそうです♪