与謝野晶子の「こがねひぐるまの歌」を読みました。
和歌ですので 「こがねひぐるまの歌」というタイトルがついているわけではないのですが、わかりやすくするために勝手に私がつけました。
山川登美子、増田雅子、与謝野晶子、3人の共同歌集『恋衣』に掲載されている一首です。
青空文庫 図書カードN0.2086 恋衣 のファイルから読みました。
和歌については学校の教科書に載っていた作品くらいしか知識がないのですが、女性が積極的に物が言えない時代に、毅然と顔を上げて女性の美しさ、誇らしさを歌い上げた与謝野晶子の歌に心引かれます。
髪に挿せばかくやくと射る夏の日や王者の花のこがねひぐるま
「こがねひぐるま」は晶子の造語らしいのですが、夏の日に燦燦と輝く向日葵のことです。
黄金色に燃えながら回転する火車とは、なんと与謝野晶子の情熱的な歌にふさわしい表現でしょうか。
当時の若い女性の髪は長かったでしょうから、豊かな黒髪に挿した花の王者は光り輝き美しさを更に際立たせます。
それにしても、近年のように品種改良した小振りな向日葵があったのかどうか、当時あった向日葵は大きかったのではないかと無粋な想像をしてしまいました。
もしも実際に髪に挿したとすれば、見た目はかなり奇異な姿だったのではないかと思います。
それでも、若くてはつらつとした女性の戯れは誰にも止められません。
見る人は誰でも向日葵のような輝かしい生命力に打たれ、目が離せなくなるはず。
何をやっているんだかと呆れる反面、微笑ましく思うのではないかと想像するのです。