金子みすゞの「大漁」を読みました。1924年発表の詩です。
『日本童謡集』(岩波文庫)に掲載された作品が注目を浴び、金子みすゞの代表作と言われています。
大漁
金子みすゞ
朝焼小焼だ
大漁だ
大羽鰮の
大漁だ
浜はまつりの
ようだけど
海の中では
何万の
鰮のとむらい
するだろう。
魚も獣も食物も、人間は命を消費せずには生きて行けません。
豊富に食べ物があることが生きるのに必要なことであり、生活の手段でもあります。
鰮が大漁に獲れたら町はお祭りのように活気づき賑わうのです。
でもそれは、人間が食物連鎖の上位に位置しているからこそ。
普通の人間は獲られる鰮の命なんかには思い至りません。
得る者があれば、それによって失う者がある。生きる者があれば、それによって死ぬ者もある。
詩人の目は生きる者すべてに平等に注がれています。
私達は小さな命を食べないでは生きて行けません。
その小さな命に思いを寄せて、慈しむ心は持ち続けていたいものです。