ビートたけしの「不安」を読みました。
ビートたけし詩集『ボクは馬鹿になった』(祥伝社・電子書籍版)掲載の一篇です。2000年7月発行の詩集を文庫化した本です。
ご存じお笑いビートたけし、そして、映画監督の北野武氏の詩です。
個人的には、かつて「いじめ」に繋がりそうなたけし軍団などのテレビ番組が苦手でテレビを見なくなったという経緯があったり、暴力的な映画のストーリーが苦手で、話題の映画は一切見ていないという状況なのですが、それでも、氏の奇才天才ぶりには注目するところが大きいです。
詩集の前書きに「独りごとにすぎません」と書かれていますが、多才な方ですね。
「不安」という詩には、見た目華やかな芸能界に生きていても、夜中に自宅へ帰り、ひとりで部屋の中にいると、色々な感情が渦巻いてどうしようもなくなってくる心が描かれています
仕事で常にテンション高く保っていると疲れ切ってしまいます。
一人になり素の自分に戻ると、どうしようもない気持ちになるのです。
いたたまれなくなって家を飛び出して夜の街を歩く詩人。
でも、人通りの多い都会の街は、さらに孤独になるだけ。
映画のワンシーンのようにどうしようもない孤独と不安が描かれている詩です。
夜が明けて日が昇ればまた、お茶の間を笑いに誘うための仕事があります。
または、表現者としての映画監督の仕事があります。
不安を抱えながらも先へ進まないわけにはいきません。そうして毎日を過ごして行くのです。
ビートたけしに限らず、我々もまた、昼の顔と夜の顔とを交互に生きているのかもしれませんね。