茨木のりこの「もっと強く」を読みました。
『茨木のりこ詩集』(岩波文庫電子書籍版)掲載の1篇です。初出は詩集『対話』(不知火社・1955年)
1926年生まれの詩人で、2006年(平成16年)に亡くなっています。国語の教科書などにも取り上げられています。
最近の若い方は、言いたいことはしっかり言うことができるようになっているかもしれませんが、私が育った頃、それ以前の日本人は、自分の主張をはっきり示さないのが普通でした。
特に、決まりなどはありませんけれど、育った環境の中で習慣的に身についたものだったのかもしれません。
詩人は、もっと自分の欲望や願いを主張して良いのだと訴えています。
茨木氏は、終戦の時20歳だったそうです。欲しいものどころか、そのに食べるものさえない時代の中から這い上がってきました。
もっと美味しいモノが食べたい、もっと良い物が欲しい、もっと良い家に住みたい、もっと良い暮らしがしたい。 そういう庶民のささやかな欲望が、戦後の日本を支えてきたのです。
欲しいモノを欲しいと主張することは決してはしたないことではないのです。
詩人は「ああ わたしたちが もっともっと貪婪にならないかぎり なにごとも始まりはしないのだ」と結んでいます。
断捨離とか、最低限もので暮らすミニマリストというライフスタイルがあります。私も現在、断捨離中で、家の中をシンプルにしようとしているところです。
簡単に手に入って溢れるほどに数が多くなると、ものの価値は下がってしまいます。そのあたりのバランスは難しいですね。
欲しくて欲しくて、苦労して手に入れたものは貴重です。
自分が生きて行くために、何が必要で、なにが大切なのかを選ぶ「心の断捨離」が必要になってくるのですね。