長田弘「言葉の死」を読みました。
『長田弘詩集』(ハルキ文庫)掲載の1篇です。初出は1977年『言葉殺人事件』(晶文社)
長田氏は1939年11月10日、福島市の生まれ、昨年2015年5月3日に亡くなっています。
「 言葉の死」が何を表しているのか?
なんて、言葉で説明するのは無粋なこと。読者の感じることがその答えです。
あれこれイメージをふくらませながら単純に言葉を楽しんでしまいました。
3行ずつ8連から成る詩のそれぞれ一行目は「言葉が死んでいた」からはじまります。死という重い言葉なのに、詩は軽くリズミカルです。
この軽さはシニカルと繋がっています。言葉が死んだことについて淡々と語る裏側に強烈な皮肉が隠れています。
殺したのは他の誰か。誰も自分が犯人だなんて思っていないのです。
でも、いつでも言葉とは一緒だったから、アリバイなんか無いのです。、
大切なものは失ってはじめてわかるものなのですね。
普段なんとも思っていなかったもの、あるのが当たり前だった言葉という大切な宝物は、死んではじめてその存在を意識されたのです。