新川和江の「わたしを束ねないで」を読みました。
『新川和江詩集』(ハルキ文庫)掲載の一篇で。
1966年雑誌「地球42号に」発表されました。
女性、OL、主婦、母親、妻、娘、女性はたくさんの顔を持っています。(もちろん、男性もですけれど) 区分け上、女性、主婦、母親とひとくくりに呼ばれますが、ひとりひとりはみんな別の人格。
「わたしを束ねないで」の詩は、平穏に平凡に生きてきた主婦の心にガツンと衝撃を与えました。
そういえば、主婦として、妻として、年老いた母親の娘として、括られて生きてきたなぁと。
この詩は男性優位の社会の中で、女性も自立して可能性を追い自由に羽ばたいて行く詩だと思うのですが、同時に、束ねられて身動きできなくなっている女性(私)への警告でもあるのかもしれません。
平成28年4月1日から「女性活躍法」という法律ができたそうで、
301人以上の大企業は女性の活躍に関する(1)自社の女性の活躍に関する状況把握・課題分析、(2)その課題を解決するのにふさわしい数値目標と取組を盛り込んだ行動計画の策定・届出・周知・公表、(3)自社の女性の活躍に関する情報の公表を行わなければなりません(300人以下の中小企業は努力義務)。 → 女性活躍推進法
以前はよく「女性の活用」という言葉が使われていて、聞くたびに嫌な気持ちでした。「活用」って何よ、男性が女性を活用するということ? なんて。
まだ「活躍」というネーミングのほうがましかもしれませんけれど。現実社会の中ではまだまだ問題も多い部分です。
話が詩から外れてしまいましたね。もどします。
あらせいとうの花、標本箱の昆虫、薄められた牛乳など比喩を使うことで、詩人の主張がむき出しにならずに、やんわりと、しかも印象的に表現されているように感じます。
そして、社会も変わっていかなくてはなりませんが、女性自身もそれぞれに束ねられない生き方を探っていかなくてはならないのです。