もう一度読みたい本。でも、おそらくもう読めない本です。栗本薫のヒロイックファンタジー小説『グイン・サーガ』(ハヤカワ文庫)のシリーズ。
1979年(昭和54年)にスタートして、2009年(平成21年)著者が膵臓がんで亡くなるまで書き続けられました。ご本人の著作としては130巻(未完)。現在は有志が引き継いで続きが刊行されています。
栗本薫さん存命中は新刊が出るたびに、楽しみにして買って読んでいました。一応、130巻まではすべて読んだはずです。
ストーリーについてはひとことではとても語り尽くせないのですが、豹頭の戦士グインと複数の主役級の登場人物による国の存亡、生死、恋愛などをからめた一大叙事詩です。→グイン・サーガの登場人物一覧 - Wikipedia
これまでに、もう一度読みたいなぁと思って、何度か思い立って読み始めたのですが、読み続けられるのはせいぜい5巻くらいまで、きっともう二度と読み終えられない本だと思います。→グイン・サーガの原作一覧 - Wikipedia
実際のところ、長い物語のスタートの部分であるノスフェラス篇が一番面白い。書き始めた当時作者は25歳くらいだったのかな、文章的にはまだ固くて、肩に力が入ってる感じの表現なのですが、それも含めて面白い。
後になってくるほどに描写がより細かく詳細になり、文章表現は巧みになってきますが、物語が複雑に入り乱れて、登場人物も多くなって再読するのはつらくなってきます。
あんなに夢中になって読んでいたはずなのに、今となってはザックリしたストーリーと、印象的なシーンのいくつかしか思い起こせないのですよね。
おそらく、これからはじめて読むのだったらきっと夢中になって読んだろうと思うのです。私が読み始めた時は25巻くらいまで出ていたのですが、面白くて一日に2~3冊くらいずつ読みましたから。
その後は新刊が出るたびに1冊ずつ読みましたけれど、今なら130冊大人買いして一気読みしたいな思います。
でも、私が生きている間に、もう再読することはないだろうと思い、先年、本棚の断捨離をした時に、正伝と外伝の全てを古本屋さんにリサイクルしてしまいました。万が一、また読みたくなった時には、電子ブックで最初の数巻だけを買うかなと思います。
そういえば、アニメ化もされています。確か、栗本薫さんが亡くなった年だったと思います。制作過程はご覧になっていたはずですが、放送スタートする前にお亡くなりになってしまいました。
ただ、アニメに関して言えば、「悪くはないとは思うけど、良くもない」が私の感想。原作を知らずにアニメだけを見れば面白いと思うのですが、長年原作を読み続けた人は自分なりのグインワールドができてしまっていますから、違和感が大きくて見ていてつらい感じでした。
ともあれ、もう読むことは無いグイン・サーガではありますが、私の大好きなお話であり、私の創作活動に大きく影響した本であることは間違いがありません。
そして、もう適わぬ願いではありますけれど、栗本薫さんご本人の執筆で、グインサーガ最終刊『豹頭王の花嫁』を読みたかったと思うのです。